2008年7月30日水曜日

ジョコンダ夫人の肖像

ジョコンダ夫人の肖像ジョコンダ夫人の肖像
E・L・カニグズバーグ

岩波書店 1975-12
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おすすめ度★★★★☆

---感想---
レオナルド・ダ・ヴィンチと彼の描いた肖像、ジョコンダ夫人(モナ・リザ)に纏わるお話。

レオナルドが何故、サライ(本の表紙の人物)という盗人を徒弟にし大事にしたのか?このことは史実だったそうで驚きですが、とても興味深かったです。

そして、決して何事にも縛られることがない自由奔放なサライが、レオナルドにとって必要不可欠だと見抜いたベアトリチェ公妃は凄かったです↓


「彼には荒々しい要素が必要なの。すべて偉大な芸術にはそれが必要よ。跳躍するもの、はばたくものがね。芸術家によっては、作品の制作そのものの中に、そういう荒々しい要素を取り入れることができるのだけれど、レオナルドにはできないわ。自意識がありすぎるもの。彼は重要なお客から、重要な主題で、重要な仕事を授けられたりすると、せっかくの素質が金縛りになっちゃうの。自分を出すことより、作品を完璧にしようと必死になっちゃうの。まだ下がきだけど、食道の壁の絵には、偉大な作品になりそうなきざしがあるわ(→最後の晩餐)。観衆が貧しい修道僧たちで、重要でないから、レオナルドは頭を少しあそばせて、何か新鮮ではっとするものを入り込ませたんだわ。サライ、レオナルド先生がいつも何か荒々しいもの、何か責任に縛られないものをもちつづけられるよう、おまえに気をつけていてもらいたいの。」


誰でも、リラックスしているときが一番、その才能を発揮できるのかもしれませんね。レオナルドも例外ではなかったのだな~と関心しました。そして、その役割を果たしたサライ、彼のシンプルな生き方には憧れます。

作品の中にジョコンダ夫人(モナ・リザ)がでてきますが、読んでいて、なんとも気恥ずかしい不思議な感覚でした。(笑)

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