2009年5月13日水曜日

タオ-老子

タオ―老子タオ―老子
加島 祥造

筑摩書房 2000-03
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---感想---
図書館で老子に関する本を何冊か手にとって、一番しっくりきたのがこの本です。
この本は、自由口語訳なので、老子の言葉をそのまま訳しているわけではないのですが、老子のメッセージが十分に伝わってきました。

ずっーと手元に置いておきたい本です!!

以前、『ソフィーの世界』という本を読んで、一時期、この世の始まりがどういうふうにしてできたのか夜な夜な考えを廻らせていたことがあります。でも、いくら頭を絞ってみても、結局これといった答えはだせませんでした。ただ、この世には初めから<何か>があったということがどうしても信じられなかったのです。その<何か>とは一体何なのか?と。

その私の長年の疑問を、この本が解決してくれました。この世に初めからあった<何か>とは<名の無い領域>のことではないのかと。・・・まるでこの世はひとつの物語ですね(笑)。

この本に書いてある老子のメッセージはどれも素晴らしいものですが、気に入った部分をひとつチョイスしてみました↓


粘土をこねくって
ひとつの器をつくるんだが、
器は、かならず
中がくられて空になっている。


この空の部分があってはじめて
器は役に立つ。
中がつまっていたら
何の役にも立ちやしない。


同じように、
どの家にも部屋があって
その部屋は、うつろな空間だ。
もし部屋が空でなくて
ぎっしりつまっていたら
まるっきり使いものにならん。
うつろで空いていること、
それが家の有用性なのだ。


これで分かるように
私たちは物が役立つと思うけれど
じつは物の内側の、
何もない虚のスペースこそ、
本当に役に立っているのだ。

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